モロッコ遊牧民探訪記

遊牧民との生活。ロバとの旅の記録

2017-01-01から1年間の記事一覧

羊飼いの家

8日目 Bab Boudir→Ighzrane 峠を越えると、高原になった。今日も雲一つなく日差しが暑い。男が道端に寝転んでいた。そばに大きな荷物が置かれている。乗り合いバンを待っているのだ。アトラス山中では、乗り合いバンが村と村を結んでいる。いつ来るか分から…

ミドル・アトラスへ

7日目 Taza近郊→Bab Boudir 朝、テントから出ると、あたりは霜が下りていた。トマトを水で洗うと、手がかじかむ。あまりに寒いので、テントに戻って寝袋にくるまり、本を読みながら太陽が昇ってくるのを待った。 前日にTazaを出発した私は、ミドル・アトラ…

ベルベル語辞典

このページは私がベルベル人に直接聞き取りして採集したベルベル語辞典(タシュリヒート)です。基本的には、実際に通じるか複数人に確認した後に掲載しています。一部アラビア語も混じっています(※印はアラビア語) 2019.1.27更新 ★2018.10.8追記 「自分に…

自転車を買う

3日目 ウジダ(Oujda) 寒さで目が覚めた。午前8時、気温は5度。昨晩、パリからウジダに飛んできた私は、空港の前に広がる荒野にテントを張り、一晩を明かした。明け方に雨が降ったらしく、フライシートが濡れていた。300メートル先にある駐車場の門番…

ロストバゲッジ@パリ

1-2日目 パリ パリで早速、ロストバゲッジに遭った。通算4回目。 航空会社は中国国際航空。関空発北京経由でパリには午前7時前に到着した。私はこれまで乗継便を利用した場合、50%の確率でロストバゲッジに遭っている。そのため入国審査を終えてベル…

出発当日

いよいよ今日出発します。心境としては、別に興奮しているわけでもなく、いつもと特に変わらない。家の台所のみかんを見て、いよいよモロッコに行くんだなという実感が強まった。みかんは私のモロッコのイメージと深く結びついている。私は大のみかん好きで…

自転車を売る⑪初めてのモロッコ

マラケシュに戻ってきた私には、やるべきことが一つあった。自転車の処分だ。私は既にポーランド行きの格安航空券を買っていた。本当は自転車を持ち込めればいいが、1万円以上かかるので、それなら現地で買い直したほうがいい(実際、このあとセルビアで中…

もうひとつのアトラス越え⑩初めてのモロッコ

三度トドラ渓谷に戻ってきた私は、再びマラケシュを目指すことにした。ビザ無しで滞在できる3カ月の期限を迎えるので、モロッコから出なければならない。既にマラケシュからマドリード経由ポーランド行きの航空券は買った。マラケシュに戻るには、もう一度…

イミルシルの湖畔で⑨初めてのモロッコ

青い。というのが、イミルシル湖を見たときの最初の印象だった。標高2600㍍から見る空は薄く、周りの山に色がない分、湖の青さが際立っていた。風もなく、無音だった。おしりをふりふりさせて泳いでいる鴨がいなければ、ここが地球であることを忘れてし…

出発は17日

今日、モロッコ行きの航空券を取った。その瞬間、明後日17日に出国し、来年3月18日に帰国することが決まった。 チケットを取るのがぎりぎりになった理由の一つは、片道券か往復券かどちらにするべきか最後まで決められなかったからだ。片道の方が気が楽…

平穏な日々⑧初めてのモロッコ

再びトドラ渓谷に戻ってきた私は、ここで2週間過ごした。初めて来たときはまだ咲き始めだったアーモンドの花は満開になっていた。アーモンドの花はサクラによく似ていて、誰かがそう教えてくれなければ、日本人なら「こんなところにサクラが咲くのか」と驚…

初めてのモロッコ⑦アトラスの化石売り

モロッコを南北に分断するアトラス山脈。北側のマラケシュやフェズといった大都市を「城壁と迷宮の世界」とすれば、南側の地域は「砂漠とオアシスの世界」だ。モロッコ人はよく「アトラスを越える」という言葉を使うが、それはつまり、北と南を分ける大きな…

初めてのモロッコ⑥辿り着いたフナ広場

マラケシュの中心にある「ジャマ・エル・フナ広場」。モロッコで最も騒がしいといわれるこの場所も、日中はオレンジジュースの屋台が出ているくらいで、ただのだだっぴろい空間だった。400㍍四方の空間の一画に、蛇使いの老人がいた。私は早速、その前に…

初めてのモロッコ⑤エッサウィラのたこ焼き屋

「たこ焼」と書かれた赤い提灯が風に揺れていた。 私はそのとき、大西洋岸の港町エッサウィラにいた。1月にあって昼間の気温は20度を超えるリゾート地。私はしばらくこの町に滞在することに決めていた。 たこ焼き屋は旧市街の土産物屋が並ぶ通りにぽつん…

初めてのモロッコ④峡谷地帯を歩く

その道を選んでしまったことを、私は後悔していた。なぜなら、それは道ではなく、正確に言うと干上がった川床だったからだ。大きな石がごろごろ転がった砂利道では自転車を漕ぐこともできず、押しながら歩くしかなかった。 トドラ渓谷を出発した私は、15キロ…

初めてのモロッコ③砂漠で見た恋

日本人女性は海外でモテる、とよく言われる。モロッコでは確かに真実だと思う。私はサハラ砂漠のほとりで、まさに現在進行中の恋を垣間見た。 メルズーガという小さな町でのことだ。人口は千人ほどだが、ここでは日本人女性と砂漠の民ベルベル人のカップルが…

初めてのモロッコ②自転車はたのし

モロッコを自転車で旅するのは楽しかった。 テトゥアンを出発した私は、リーフ山脈の麓にある青の町シャウエンを経て、古都メクネスを目指した。日本人にとってモロッコといえば、砂漠=乾燥した大地というイメージが強いと思う。だが、北部は地中海の香りが…

野田知佑の「旅へ」を読んだ

モロッコとは全然関係ない話だが、野田知佑さんの「旅へ」を読んだ。 著者は「ツーリング・カヌーイスト」の草分けとなる存在で、これまで欧州や北米など世界各地の川をカヌーで旅してきた人だ。それに関する著作もたくさん発表している。その道では超がつく…

初めてのモロッコ①マラケシュを目指す

マラケシュに行こうと思った。 そのとき私はポルトガルの首都・リスボンにいた。マラケシュといえば、これまでにすれ違った旅人からいろいろな感想を聞かされていた。話題の中心はいつもフナ広場だ。曰く、「あそこに行けばモロッコの全てが味わえる」。また…

調査地と方法など

この冬予定しているモロッコ再訪の目的は、いずれ消えゆくノマドの暮らしを記録すること。そのため、彼らとともに生活してみたい。知りたいことはたくさんある。1日をどのように過ごすのか、何を大切にしているのか、ノマド同士の話題は何か。言葉と文化を…

私とノマドの出会い

その〝家〟を見たとき、率直に感じたのは、「今の時代に、こんなところに住む人たちがいるのか」という驚きだった。固いトゲがついたラクダ草が点在するだけの乾燥した岩山。その斜面に、大きな穴が5つ、6つ。ただ掘るという、最も原始的な手法で作られた…

お問い合わせ

読み込んでいます...