モロッコ遊牧民探訪記

遊牧民との生活。ロバとの旅の記録

初めてのモロッコ

自転車を売る⑪初めてのモロッコ

マラケシュに戻ってきた私には、やるべきことが一つあった。自転車の処分だ。私は既にポーランド行きの格安航空券を買っていた。本当は自転車を持ち込めればいいが、1万円以上かかるので、それなら現地で買い直したほうがいい(実際、このあとセルビアで中…

もうひとつのアトラス越え⑩初めてのモロッコ

三度トドラ渓谷に戻ってきた私は、再びマラケシュを目指すことにした。ビザ無しで滞在できる3カ月の期限を迎えるので、モロッコから出なければならない。既にマラケシュからマドリード経由ポーランド行きの航空券は買った。マラケシュに戻るには、もう一度…

イミルシルの湖畔で⑨初めてのモロッコ

青い。というのが、イミルシル湖を見たときの最初の印象だった。標高2600㍍から見る空は薄く、周りの山に色がない分、湖の青さが際立っていた。風もなく、無音だった。おしりをふりふりさせて泳いでいる鴨がいなければ、ここが地球であることを忘れてし…

平穏な日々⑧初めてのモロッコ

再びトドラ渓谷に戻ってきた私は、ここで2週間過ごした。初めて来たときはまだ咲き始めだったアーモンドの花は満開になっていた。アーモンドの花はサクラによく似ていて、誰かがそう教えてくれなければ、日本人なら「こんなところにサクラが咲くのか」と驚…

初めてのモロッコ⑦アトラスの化石売り

モロッコを南北に分断するアトラス山脈。北側のマラケシュやフェズといった大都市を「城壁と迷宮の世界」とすれば、南側の地域は「砂漠とオアシスの世界」だ。モロッコ人はよく「アトラスを越える」という言葉を使うが、それはつまり、北と南を分ける大きな…

初めてのモロッコ⑥辿り着いたフナ広場

マラケシュの中心にある「ジャマ・エル・フナ広場」。モロッコで最も騒がしいといわれるこの場所も、日中はオレンジジュースの屋台が出ているくらいで、ただのだだっぴろい空間だった。400㍍四方の空間の一画に、蛇使いの老人がいた。私は早速、その前に…

初めてのモロッコ⑤エッサウィラのたこ焼き屋

「たこ焼」と書かれた赤い提灯が風に揺れていた。 私はそのとき、大西洋岸の港町エッサウィラにいた。1月にあって昼間の気温は20度を超えるリゾート地。私はしばらくこの町に滞在することに決めていた。 たこ焼き屋は旧市街の土産物屋が並ぶ通りにぽつん…

初めてのモロッコ④峡谷地帯を歩く

その道を選んでしまったことを、私は後悔していた。なぜなら、それは道ではなく、正確に言うと干上がった川床だったからだ。大きな石がごろごろ転がった砂利道では自転車を漕ぐこともできず、押しながら歩くしかなかった。 トドラ渓谷を出発した私は、15キロ…

初めてのモロッコ③砂漠で見た恋

日本人女性は海外でモテる、とよく言われる。モロッコでは確かに真実だと思う。私はサハラ砂漠のほとりで、まさに現在進行中の恋を垣間見た。 メルズーガという小さな町でのことだ。人口は千人ほどだが、ここでは日本人女性と砂漠の民ベルベル人のカップルが…

初めてのモロッコ②自転車はたのし

モロッコを自転車で旅するのは楽しかった。 テトゥアンを出発した私は、リーフ山脈の麓にある青の町シャウエンを経て、古都メクネスを目指した。日本人にとってモロッコといえば、砂漠=乾燥した大地というイメージが強いと思う。だが、北部は地中海の香りが…

初めてのモロッコ①マラケシュを目指す

マラケシュに行こうと思った。 そのとき私はポルトガルの首都・リスボンにいた。マラケシュといえば、これまでにすれ違った旅人からいろいろな感想を聞かされていた。話題の中心はいつもフナ広場だ。曰く、「あそこに行けばモロッコの全てが味わえる」。また…