モロッコ遊牧民探訪記

遊牧民との生活。ロバとの旅の記録

モロッコ再訪

最果ての村

ザゴラからマアミドまでの約100キロを、私はタクシーで行くことにした。とはいえ、この二つの町を結ぶ一本道に、車がそう多く走っているわけではない。マアミドから先は町もないから交通量は限られている。この日は朝からザゴラ近郊でスークが立っていた…

一冊の本(in ザゴラ)

北側から遊牧民の家とシェガガ大砂丘を望む。この日は風が強く、砂丘はかすんで見えた その日はテントが揺れる音で目が覚めた。ドアを開けると、外はまだ薄暗かった。冷たく張り詰めた空気を頬に感じた。寝袋に潜り直した。しばらくすると何者かが紙袋を漁っ…

サガロの奥深くへ

イガズンからイグリに続く道のり 「山脈」というと、「緑深い山々」というイメージを持っていた。しかし、モロッコのサガロ山脈は、水気がない、木一つ生えていない荒涼とした土地だった。山というより、砂漠。サガロとは、ベルベル語で「干ばつ」を意味する…

ベルベル人の小さな集落

モロッコには、ピストと呼ばれる未舗装道路が山や砂漠などに存在する。地平線まで細い砂利道がずっと延びている。その先に何かがあるとはとても思えない。だが、あるのだ。それは、ベルベル人の集落に続く道だ。もともと北アフリカの先住民族であるベルベル…

ネコブの日本人

サガロ山脈を抜けて辿り着いたネコブ(Nkob)の周辺も、一面の銀世界が広がっていた。砂漠に近いと聞いていたので、私は最初、そこがネコブだとは信じられなかった。「この町で雪が降ったのは初めてだ」。町で会った誰もがそう口にした。 地面が濡れたネコブ…

50年に一度の大雪

朝、雪が落ちる音で目が覚めた。ドアを開けると、猛吹雪。昨夜は雪など全く無かったというのに、一晩にして、ひざ丈まで積もっている。強風で目も開けていられないほどだ。1月29日。モロッコ南部では50年ぶりの大雪が降った。私はトドラ渓谷から75キ…

元ノマドの話

12、13日目 Rish→Imilchil(イミルシル)→Tamtattouchte(タムタトゥーシュ) 約1年ぶりにイミルシルに帰ってきた。イミルシルは標高2500㍍、モロッコで最も標高の高い「町」だ。私は早速、前回宿泊した宿「GITE DETAPE」に向かった。主人のゼイは、私…

モロッコ警察

11日目 Zeida近郊→Rish 朝、テントを片付けているとき、受付の男から声をかけられた。男は、サムスン製の携帯電話を私に差し出した。 「昨日、モロッコの電話番号を持っていないと言っていただろう。今後、警察と連絡を取るためにも持っていくといい」 「…

乗り合いバン

9日目 Ighzrane→Imouzzer Marmoucha この日2つの目の峠にたどり着いたとき、後ろから1台の乗り合いバンが追いついてきた。乗せてもらおうかなという考えが一瞬、浮かんだ。今日はすでに20キロを走っているが、この辺りは人の匂いがまるでしない。山は、…

羊飼いの家

8日目 Bab Boudir→Ighzrane 峠を越えると、高原になった。今日も雲一つなく日差しが暑い。男が道端に寝転んでいた。そばに大きな荷物が置かれている。乗り合いバンを待っているのだ。アトラス山中では、乗り合いバンが村と村を結んでいる。いつ来るか分から…

ミドル・アトラスへ

7日目 Taza近郊→Bab Boudir 朝、テントから出ると、あたりは霜が下りていた。トマトを水で洗うと、手がかじかむ。あまりに寒いので、テントに戻って寝袋にくるまり、本を読みながら太陽が昇ってくるのを待った。 前日にTazaを出発した私は、ミドル・アトラ…

自転車を買う

3日目 ウジダ(Oujda) 寒さで目が覚めた。午前8時、気温は5度。昨晩、パリからウジダに飛んできた私は、空港の前に広がる荒野にテントを張り、一晩を明かした。明け方に雨が降ったらしく、フライシートが濡れていた。300メートル先にある駐車場の門番…

ロストバゲッジ@パリ

1-2日目 パリ パリで早速、ロストバゲッジに遭った。通算4回目。 航空会社は中国国際航空。関空発北京経由でパリには午前7時前に到着した。私はこれまで乗継便を利用した場合、50%の確率でロストバゲッジに遭っている。そのため入国審査を終えてベル…