モロッコ遊牧民探訪記

遊牧民との生活。ロバとの旅の記録

出発はまだ

 前回の記事で、「いよいよ年内に出発」と予告したのですが、結局、寸前のところで諦めました。大みそかに出国する予定でしたが、12月24日ごろにイラン大使館から個別に連絡がありまして。「本国でオミクロン感染者が出たため、外国人はしばらく入国できなくなった」とのこと。ビザ保有者には一人ひとり個別に電話連絡しているようでした。

 というわけで、せっかく会社まで辞めたのに、宙ぶらりんな状況に。京都の実家で、これまで積読してきた本を読むくらいしかすることがありませんでした。

 さて、現在は、イランに渡航することは可能です。しかし、イランでは1月下旬以降、オミクロンの感染が爆発している状況。毎日3万人以上が感染しています。イランは昨年夏ごろ、ロックダウン(都市封鎖)措置をとりましたが、現地報道によると、政府は今はそうした厳しい措置はとらない方向とのこと。

 個人的には、もう収束を待ち続けるのが辛くなってきたので、来週にも行く心づもりではいます。遅くてもビザの有効期限が2月末で切れてしまうので、それまでには。(このご時世なので、チケットはいつとっても値段は変わらない)

 

 ところで、イランの旅の報告はnoteで行うことにしました。ページはこちら→

太郎丸|note   。

 以前書いたように、イランの旅は、モンベルのチャレンジ支援に申し込み、無償の物資提供が受けられることになっていたのですが、やっぱり受けないことにします。チャレンジ支援に申し込んだのはコロナ禍以前でしたが、コロナで当初の計画通りに旅を進められない可能性が高いことと、やはりスポンサー(というほど大げさなものではないですが)がないほうが気兼ねせず、自由な旅ができると考え直しました。

 

 このブログは、本当はもっとモロッコについて発信しようと思っていたのですが、遊牧民との暮らしも、ロバとの旅の報告も、何もかも中途半端になってしまいました。細々と更新できればいいのですが、引き続き暖かく見守っていただければ幸いです。(もし、何かのテーマに基づいて書いてほしいという要望があればコメントをいただければ喜んで書きます!)

年内にイランへ出発します

 退職届を出し終え、会社員生活も残り1週間となりました。先週、イランのビザを申請しました。発給され次第、12月下旬ごろの航空券を買うつもりです(12/2→ビザGETしました!)

 しかし、ここに来てまさかのコロナ変異株。果たして無事に出国できるのか…。それはそうと、イラン入国には出国92時間以内のPCR検査の陰性証明書が必要だそう。もし、ここで陽性だったら、バカ高い検査費と航空券代がパアになる。恐ろしい話です。

 このブログの今後ですが、細々と更新はするつもりですが、メインの旅行記はnoteにマガジン形式で有料配信しようと計画中。旅に出ると、金は出ていく一方なので、金を得る手段も考えないとなあと考え付いたのが、noteという手段。どれだけ需要があるのかわかりませんが(いや、ないだろうとは思うけど)、これも人助けと思って、ぜひご購読をお願いします。詳しくは追ってお知らせします。

いよいよか

 今もこのブログを訪れてくれている皆さん、ありがとうございます。

 約10カ月ぶりの更新です。

 いよいよ旅立てる日がやってきそうです。

 待ちに待っていたイランの観光ビザは、今月下旬、1年以上ぶりに再開。カザフスタンもビザ免除での旅行者受け入れがスタート。ほかの国々でも旅行者受け入れの動きが相次いでいます。ワクチンの2回接種が完了していれば国をまたいだ旅行もだいぶしやすくなってきたようです。

 会社にはまだ正式には伝えていませんが、私は年内にも仕事を辞め、旅立つ予定。出発地はトルコか、イランか。現地でロバを買い、行けるところまで行くつもりです。

 前回、2年以上の旅に出た時もそうだったけれど、旅に立つ前はいつも不安に駆られます。いまの快適な暮らしを捨てて、一体何のために旅に出るのだろうと。けれども、スタインベックが言うように、つまるところ風来坊はずうっと風来坊なのでしょう。毎年、1年のうち3カ月は休みがもらえるような生活ができれば、だいぶ生きやすくなるのですが。

 とにかく、年内に旅立つ予定でいるとの報告でした。

早く出発したいが・・・

 ・・・結局、今年旅立つことは見送ったのだった。

 出発地のトルコは、すでに自由に旅行ができる。けれどイランはツーリストビザの発行を中断しており、再開の気配がない。一方、ウズベキスタンはもう旅行できそうだ。もしかしたら、行ってみたらどこも案外旅行できるのかもしれない。最近はコロナ禍だからこそ行く意味があるんじゃないかとも思い始めている。

 しかし、もし国境が閉じていたり、ビザが下りなければ、ロバとの旅は行き詰ってしまうので、踏ん切りがつかない。幸いなことに、効力は未知数ながらワクチンが完成し、来年夏までに接種できそうという。遅くても来年夏までに・・・という希望を胸に、準備を進めている。

 私生活でいえば、今は小さな新聞社で記者として働いている。この夏、釣りを覚えたことで生活はがらりと変わり、暇ができたら釣りばかり。これまで竿を持って旅行しなかったことを後悔しているし、今度は絶対に持っていこうと思っている。

 最後に、ぜんぜん更新していないブログですが、今も1カ月で延べ300人以上のアクセスがあります。励みになっています、ありがとうございます。

出発はトルコ

 最近暇です。

 去年の秋ごろから、今時期に旅するつもりで生きてきたので、張り合いがないというか。テレワークと言いつつ、自宅で世界地図や海外ニュースを眺めて過ごす日々。無為に過ごすのも嫌いではないんですが、見通しが立たないとあまりに漠然と月日が過ぎていくので、秋~冬には旅立てると勝手に思い込んで生きていくことにします。

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 暇な時間を利用して、ビザの取りやすさなど諸般の事情を吟味した結果、トルコを出発点にすることに。カッパドキアでロバを手に入れ、山岳地帯を通ってイラン東部へ。パキスタンとの国境を越えるわけだが、ここが一番の懸念ポイント。外務省の治安情報では最悪のレベル4(アフガンと同じ)に指定されており、ネットにはほとんど情報がない。ただ、比較的最近、越境した旅行者によると、パキスタン側では護衛がついて(半ば強制的に)クエッタという町まで送られるらしい。クエッタは3年前に中国人男女が誘拐され殺害された都市で、そこでも移動は制限される。そもそもテロリストが潜んでいるような場所をロバと歩いていると目立って標的にされそうなので、この国境は利用したくない。

 かといって、トルクメニスタンは観光ビザの取得はほぼ不可能、アフガニスタンは危険すぎて論外(行きたい国ナンバーワンではある)、ということで、選択肢はパキスタンのみ。この国は北部以外は平地で、歩くには面白みに欠けそうなので、イラン側でロバを野に放ち、乗り物でパキスタン北部まで移動し、また新たにロバを買う…というのもありだと考えている。旅のメインはトルコ・イラン。この2国だけで1年かけてもいい。中央アジアはおまけみたいなもので、ワハーン回廊を歩いてみたいというだけ。もちろんロバ一匹で、トルコから中国まで自分の足だけで行けるならそれが一番いい。

 なんでそうまでしてロバと旅したいのか、と思われるかもしれない。私は旅がしたいというより、ロバと一緒にいたいのだと思う。自分の知らない世界を、ロバと一緒に歩く。あんなにキュートでプリティーはアニマルは他にはおらず、一緒にいて飽きない。平地は歩いても面白くないので、山岳地帯で。そのまま日本に持ち帰りたいけど、中国を横断するのは、さすがに無理だろうなあ。

私のロバは元気だろうか

 モロッコで一緒に旅したロバは元気だろうかと、ふとした折に考える。

 あのロバは、旅の終わりに、トドラ渓谷に住む遊牧民のアハマド一家にプレゼントした。アハマド一家とは、以前に1カ月以上、居候させてもらった縁がある。

 プレゼントしたといっても、アハマド一家に喜ばれたかどうかは疑問だ。むしろありがた迷惑だった恐れがある。一家はすでにラバ1頭とロバ4頭、十分な数を持っている。私のロバは「必要以上」のロバであり、ただのごく潰しになりうる。だからか、アハマドは私に「(村に住む)息子にロバをやりたい」とも言っていた。

 あのロバ自体、もともと山ではなく、ミデルトという町の郊外に住んでいたので、山暮らしはそんなに好きではないかもしれない。でも、あのロバはきっと役に立つ。身体は一回り大きく、力持ち。道端のとげとげしい草をうまそうにぼりぼり食いながら、すいすいと険しい山道を越えていく。

 「ロバロバって、名前はないんかい」と突っ込まれそうだが、名前はないんです。名前を呼ぶ機会はなかったし、必要もなかったので。

 これからトドラ渓谷に行く皆さん、もしこの記事を見て、岩山をトレッキングする機会があったら、アハマドに

「マニ・アガユール・コータロー? エヘラ?」(コータローのロバはどこ?元気?)

 と聞いてみてほしい。

 アハマドは、ツーリストによくお茶を出している70歳くらいのおじさんです。アハマドも、手が震えだしているので、アハマドの健康も心配ですが。

 アハマドもロバも、どこにいようが、元気でいてくれたら。そしてまた、いつか再会できればと思っている。

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