ベルベル人のドキュメンタリー
モロッコの山奥を舞台にしたドキュメンタリー「House in the fields」を見た。ベルベル人の少女カディジャの姉ファティマが婚約し、カサブランカに行ってしまうまでの村の様子を描いている。
ファティマは結婚式当日まで、婚約している夫と言葉を交わしたことがなく、「(彼が)何が好きかも知らない」という。ベルベル人の村では、そういうことがいまでも珍しくない。男が女を好きになったら、男の父が女の父に家に行き、うかがいを立てる。日本のように、恋人になり、仲を深めて、と段階を踏んでいくケースは稀だ。
カディジャは、大好きな姉と離ればなれになってしまう寂しさを募らせていく。「そこはどんな街なの?大きいの、小さいの?」と姉にたずねる。ガディジャにとっては、自分の小さな村こそが世界の中心。カサブランカは想像もできない遠い地なのである。
砂漠でも迷宮でもない、観光客にとっては知られざるもう一つの顔、アトラス山脈。何百年も前から変わらぬ、ベルベル人の慎ましく堅実な生きざまを映し出す。今も目に焼き付いている彼らの姿を見て、心の底から懐かしくなった。
英国の女性監督が2017年につくったドキュメンタリーらしいが、なぜかこの1カ月間、緊急オンライン配信が決まったらしく、1900円で見られます。
旅立てず
一体、世界はどうなってしまうのか…。
新型コロナウイルスの影響で、これから旅立とうとしているエリアが国境を閉じたまま。出発の時期が決められない。モロッコでゲストハウスを営む典子さんは、ちょうどインドを旅行中に、モロッコが海外からの出入国を制限して鎖国状態になったため、モロッコに帰れないらしい。おまけに今いるインドも外出禁止中で、外にいたら警察に罰としてスクワットや腕立て伏せをさせられるらしい。全く恐ろしいことだ。
私はといえば、春に仕事を辞め、6月ごろに出発しようと考えていたが、早くても夏、もしかしたら来年まで待たないといけないかもしれない。
そんな折に、モンベルから、チャレンジ支援プログラムの申請が通ったと連絡をいただいた。このプログラムは、冒険や自然保護活動などに対し、必要なモンベル商品を特別価格で提供するほか、とくに社会性が高いと認められる活動には資金・商品の提供も行うというものだ。
モンベルからの連絡は、寝袋やテントなど、私が希望した全商品の無償提供をしていただけるというものだった。審査では、「その活動の社会性が高いかどうか」がポイントらしいが、私は正直に「ロバとの旅は、外から見れば単調に見えるかもしれない」と書いた。社会性が高いと思わないし、正直、全然期待しておらず、締め切り直前に慌てて申請書を書き上げ、締め切り1分前にWeb提出するありさまだった。最初は申請書を出すこと自体、ためらっていたが、それでも認められたのは大変な驚きだった。
新型コロナウイルスの影響で、スケジュールを延期する可能性が高いが、延期しても実行するなら、申請通りの支援をしてくれるらしい。私としては、もちろん実行するつもりだけど、終息の見通しが全然つかないので、不安な心持で日々過ごしている。
ルート候補
6月ごろに出発しようと思っているが、新型コロナウイルスの今後の見通しが分からず、遅れるかもしれない。専門家によっては夏まで続くとか。予定ルートのイランに関しては周辺国が国境を閉鎖しているみたいなので、旅への影響は必至だ。
ルートを見直していたところ、トルクメニスタンのビザ取得が面倒であることが分かった。5日間のトランジットビザなら比較的とりやすいが、1カ月の観光ビザになると、現地の旅行会社の招待状と、さらにガイドが必要らしい。一応、旅行会社に「ロバと歩くつもりだが、ガイドの付き添いは可能か」と問い合わせてみるつもりだが、高額な代金を請求されるなら諦めるつもりだ。カザフスタンからカスピ海フェリーに乗ってアゼルバイジャン、というルートもあったが、一番楽しみなイランをほとんど歩けないので候補外とした。で、代わりに浮かんできたルートが↓
ウズベキスタンのフェルガナ盆地でロバを買い、タジキスタンのワハーン回廊、パキスタンのカラコルムハイウェイを抜け、砂漠地帯を横断してイランへ。
問題はパキスタンとイランの国境。外務省の治安情報では退避勧告が出されているエリアだ。ただ日本人旅行者は稀にではあるがいるらしく、彼らのブログを見ると、軍人に守られながら進んでいく感じらしい。できるなら危険なエリアは避けたいが、ほかにルートがないのだから、これしかないと思いつつある。
春に出発予定
今度はアジアを旅する、という考えは自分の中で固まりつつある。中国の西端カシュガルでロバを買い、トルコまで歩く計画だ。すでに会社の何人かには伝えた。最初に話をした先輩は、私の話を聞くと、「ブハハハハ」と豪快に笑ってくれた。よっぽどおかしかったらしい。別に引き留められるとも思っていなかったが、気持ちよく笑ってくれたことで、私も踏ん切りがついた。
私は26歳のとき新聞社を辞めて合計約2年半旅をした。旅を終え、社会復帰したのは29歳で、もう旅に出ることはないと思ったけども、何となくやり残したことがあった。それはアジアだった。南米やモロッコ、ヨーロッパには長く滞在したけども、まだアジアはほとんど行ったことがない。近いしいつでも行けるという思いがあったからだ。スペインの巡礼路やモロッコを何カ月も歩いたことで、今度はアジアをゆっくり歩いてみようという気になった。これまでの徒歩旅行で得たものがあるとすれば、歩けばどこにでも行けるという自信だと思う。シルクロードを歩いてみたいとか、そんなロマンチックな思いはない。幹線道路を避け、なるべく人が住んでいない道路をロバと一緒に歩いてみたい。
私はどうもロバと相性がいいらしい。ロバの方はどう思っているか知らないが、私はロバと歩くのが好きだ。草をうまそうに食む姿は見ていて飽きないし、特にブドウの汁が口からぽたぽたこぼれるのを見るのが好きだ。土の道にひびく蹄の音はいつも落ち着きを与えてくれた。
トルコからスタートし、中国を横断してロバを日本に持って帰ることも考えた。だが、あのばかでかく都市化が急速に進む中国を歩くのは嫌なので、西行きのルートにした。前回は寝込みを強盗に襲われているので、今度は大きな犬も連れて行きたいと思っている。
モロッコで買ったiPhone6が壊れた
iPhone6の電源がつかなくなった…。
こいつは今年2月ごろにモロッコ・マラケシュで購入した。16GBで、言い値2万円を1万2000円くらいに値切って買った。きれいな状態だったし、バッテリーも90%くらいあったので、気に入っていた。
最初は水没か?と思った。最近風呂に持っていったことがあったから。ところが、修理屋に行くと、「基盤が改造されてるね」「水没じゃないよ」とのこと。店主曰く、ジャンク品を改造したものらしい。修理するなら、数万円かけて基盤を取り替えないといけない。
「安くいいものが買えた」と喜んでいた自分がアホらしい。あのモロッコ人め。帰国して半年以上たつのに、今になって騙されていたことに気づく。
ロバ旅、再び
4月から働き始めました。ところが、最近、もう一度、長い旅をしようかなあという思いが静かに湧いてきています。今度の旅は、イスタンブールから韓国まで。もちろんロバと徒歩で。はじめは、会社と相談しながら、毎年一カ月くらい休みを取って、少しずつと思っていたが、思い切って一回で行ってみようかなと。
アフガニスタンを犬と歩いた英国人外交官ローリー・スチュアートは、故郷のスコットランドを散歩していて、ふと「このまま歩き続けたらどうなるだろう」と考え、アジア大陸を横切る旅に出た。私も、ロバと一緒にどこまで歩けるのかやってみたい。ひとりで歩くのはさびしいが、ロバと一緒ならどこまでも歩いていける気がする。何年かけてでも。
写真で振り返る
写真を整理しながら、旅のことを振り返った。今回旅を始めて4週間でカメラを強盗されたわけだが、実は、犯人二人が帰るとき、(首を絞められていたので)意識がもうろうとしながらも、「カードだけは返してくれ。大切なものだから」と声を振り絞ったところ、それだけは私に返してくれたのだった。今回はその中の写真を一部公開。