モロッコ遊牧民探訪記

遊牧民との生活。ロバとの旅の記録

旅立てず

 一体、世界はどうなってしまうのか…。

 新型コロナウイルスの影響で、これから旅立とうとしているエリアが国境を閉じたまま。出発の時期が決められない。モロッコでゲストハウスを営む典子さんは、ちょうどインドを旅行中に、モロッコが海外からの出入国を制限して鎖国状態になったため、モロッコに帰れないらしい。おまけに今いるインドも外出禁止中で、外にいたら警察に罰としてスクワットや腕立て伏せをさせられるらしい。全く恐ろしいことだ。

 私はといえば、春に仕事を辞め、6月ごろに出発しようと考えていたが、早くても夏、もしかしたら来年まで待たないといけないかもしれない。

 そんな折に、モンベルから、チャレンジ支援プログラムの申請が通ったと連絡をいただいた。このプログラムは、冒険や自然保護活動などに対し、必要なモンベル商品を特別価格で提供するほか、とくに社会性が高いと認められる活動には資金・商品の提供も行うというものだ。

 モンベルからの連絡は、寝袋やテントなど、私が希望した全商品の無償提供をしていただけるというものだった。審査では、「その活動の社会性が高いかどうか」がポイントらしいが、私は正直に「ロバとの旅は、外から見れば単調に見えるかもしれない」と書いた。社会性が高いと思わないし、正直、全然期待しておらず、締め切り直前に慌てて申請書を書き上げ、締め切り1分前にWeb提出するありさまだった。最初は申請書を出すこと自体、ためらっていたが、それでも認められたのは大変な驚きだった。

 新型コロナウイルスの影響で、スケジュールを延期する可能性が高いが、延期しても実行するなら、申請通りの支援をしてくれるらしい。私としては、もちろん実行するつもりだけど、終息の見通しが全然つかないので、不安な心持で日々過ごしている。