モロッコ遊牧民探訪記

遊牧民との生活。ロバとの旅の記録

モロッコの首都

 カサブランカマラケシュは知っていても、ラバトは聞いたことがないという人は多いだろう。ラバトはモロッコの首都である。しかし、人口規模的には国内7位くらい、地理的にも中途半端な場所に位置し、「地球の歩き方」には中ごろになってようやく登場するくらいぱっとしない都市なので、時間にゆとりのある旅行者でもスルーする人が多い。私もこれまで行こうと思ったことはなかった。しかし、友人に会うため行ってみて、想像以上の居心地の良さから、一週間も滞在してしまった。

 その理由の一つに、飯が安くて美味かったことがある。ふらりと入った安食堂のハリラやタジンで外れを引いたことがない。港町だけあってシーフードも新鮮だ。メディナ(旧市街)は活気がある。スーク(市場)もマラケシュのような観光客向けの場所に成り下がっておらず、細い路地は野菜や果物にあふれ、地元民でごった返している。観光的な見どころもないわけではなく、白と青で統一された家々が並ぶ「ウダイヤのカスバ」やローマ遺跡は一見の価値がある。大西洋側にはビーチもあり、潮の香りを楽しみながら歩くのも楽しい。首都だけあって映画館や美術館もあるので長居するにはもってこいの町だ。

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ローマ遺跡は今はコウノトリの大営巣地になっている。Tripadviserを見ても、ほとんどの人が遺跡ではなく、コウノトリについて書いている(笑)

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港町だけあってシーフドは安くて新鮮。魚のタジンもある

 ここでは、ベルベル人はきわめて少数派だ。やはり条件のいい平地にはベルベル人はほとんどいないんだな・・・と実感した。ましてや首都、アラブ人がまだまだ支配的なのだ。ラバトを含むアトラスの北側は高速道路も電車もある。都市ではトラムが走っている。だがベルベル人が多い南側には何もない。この国でも南北格差は大きな課題だ。民族衣装ジュラバを着ている人は一週間でたった一人しか見なかった。またロバも一頭も見当たらない。メディナの路地は狭いので便利なはずだが、もしかして通行が禁止されてるのだろうか。