モロッコ遊牧民探訪記

遊牧民との生活。ロバとの旅の記録

ロバを洗う

12/3-4

 アンチアトラスの中心地、タフロウトに到着しました。緊急で寄ったマラケシュを除けば、出発地のミデルト以来の大きな町。カフェやレストラン、土産物屋もたくさんあり、やっぱり町は楽しい。

 タフロウトにはキャンピングカーでやってくるヨーロピアン向けのキャンプ場がいくつかある。最初に訪ねた二軒はロバ同伴不可だった。唯一、私たちを受け入れてくれたのが「Granite Rose」。客はフランスからきた老夫婦だけで、チキンタジンとサラダをご馳走してくれた。

f:id:taro_maru:20181204022318j:plain

(ご馳走になったチキンタジン。フランス人だけあって、そこらへんのレストランで食べるより美味い)

 日本人にはイメージしづらいかもしれないが、モロッコはヨーロピアンにとって身近な避寒地だ。彼らは海岸沿いや砂漠をドライブしながら、気に入った町があれば何日でも滞在する。この老夫婦も2010年から毎年のようにモロッコに来ているそうだ。「何泊するんですか?」と訊くと、「さあ。5、6泊…雨が降るまでいるよ」てな具合である。別に観光するでもなく、一日中キャンプ場にいて、日光浴しながらコーヒーをすすっている。私もまたそうした旅を志向する一人なので、いいなと思う。

 タフロウトは人が多く、標高も千メートルしかない。これまでいた2千メートル以上の高地と比べると日中暑く、これまで経験したことのない数のハエがロバにたかってきた。考えてみれば、この二ヶ月弱、一度もロバを洗ってない。顔に無数のハエが群がっているのを見ると不憫なので、今日洗ってやった。なぜか老夫婦も参加してくれた。犬のように体をぶるぶる震わせて洗いにくいかなと思っていたが、おとなしかった。おかげで汚れはしっかり落ちたようだ。

f:id:taro_maru:20181205015520j:plain

(洗われた後に草を食べるロバ)

 強盗犯は結局まだ見つかっていない。しかし、ジョンダルミ(田舎警察)は事件後、私の安全にかなり気を使ってくれる。例えば、人気がない道を歩いていると後ろからパトカーでついてきたり、野宿すれば朝まで近くで車中泊しながら見守ってくれたりする。実はこうしたパトロールは強盗前からたびたびあったのだが、事件後は徹底している。ありがたくもあるが、常に見張られることによるストレスも感じていて、ときには「自由にさせてくれ」と強く言い合うこともあった。

 ゴールまで残り150キロ。ふつうに歩けば一週間もかからずに着く。これまでほぼノンストップで歩き続けてきたので、ここタフロウトではフランス人老夫婦のように何もせず、日光浴でも楽しみながら過ごすつもりだ。

 

<キャンプ場情報>

Granite Rose=中心地から約1キロ、ナツメヤシの林の中にある。テント一張り30DH。熱々のホットシャワー10DH。区画ごとに電源あり。敷地全域で使えるwifiあり。オーナーのオマルはタジン料理が得意らしく熱心に勧めてくる。