モロッコ遊牧民探訪記

遊牧民との生活。ロバとの旅の記録

今日からノマド生活

  • Todgha Gorge(トドラ渓谷)

 この旅の目的地の一つであるトドラ渓谷には、12月30日に着いた。宿は去年も長居させていただいた「Maison D'hote la Fleur」。日本人女性である典子さんとベルベル人青年ユセフが営む宿だ。屋上にテントを張らせてもらい、毎日昼ごろに起きて日付が変わるころに寝るというだらしのない生活を送っている。

 この1週間は、村の人からベルベル語を教えてもらったり、ノマドから山羊を買って解体現場を見せてもらったりした。小さな村なので、私がベルベル語を勉強していることはすぐに広まり、通りすがりに単語を教えてくれたり、発音を訂正してくれたりする。子供たちは私を見つけると、靴とか腕時計など身の回りのものを指さして、それがベルベル語で何というのか教えてくれる。

 ベルベル語については、日本にいたころ、Youtubeでいくつかの言葉は覚えてきたつもりでいた。しかし、それはほぼ徒労だったことが分かった。モロッコで話されるベルベル語は主に3方言があるが、いま、それを統一して標準語を作ろうという動きが広まっている。私が動画で見たのは、その標準ベルベル語だったらしい。しかし、標準ベルベル語は地方までは浸透しておらず、ここトドラ渓谷周辺ではほとんど通じない。例えば、「ありがとう」はこの辺りでは「サハ」というが、標準語では「タニメル」となる。そのため、一からベルベル語を覚えねばならなかった。しかし、ベルベル語は発音がとても難しく、ゆっくり発音してもらわなければとても日本語(片仮名)に書き起こせない。がんばって覚えても、ほかの人に試してみると全然通じないこともよくある。だからとりあえず基本語だけを重点的に発音練習することにした。

 今日(モロッコ時間で1月9日)これから、去年も滞在したノマド宅に赴いて、ホームステイを始めます。期間は1~2週間程度。そのあと、タムタトゥーシュかサグロ山脈に移動する予定です。