モロッコ遊牧民探訪記

遊牧民との生活。ロバとの旅の記録

出発は17日

 今日、モロッコ行きの航空券を取った。その瞬間、明後日17日に出国し、来年3月18日に帰国することが決まった。

 チケットを取るのがぎりぎりになった理由の一つは、片道券か往復券かどちらにするべきか最後まで決められなかったからだ。片道の方が気が楽だし、融通も利く。しかし、片道は往復で取るより3万円ほど高くなる。どうしようか悩んでいるうちに、年末が近づき、航空券が一気に値上がりしてしまった。

 そして、私は本当にモロッコに行くべきだろうかという迷いもあった。なぜノマドの居住地に行きたいのだろう。おそらくこれから何度も聞かれるであろうこの問いに、私はうまく答えられる自信がない。このブログの冒頭には「ノマドの記録を残したい」と書いた。それは確かに事実だ。誰かが文字に残さなければ、それはいずれなかったかのように時は流れていく。誰かが既に日本語で記録を残しているなら、私はあえてモロッコに行こうとしなかっただろう。だが、それでも私は、モロッコに行くことが億劫になり始めた。ノマドの生業は放牧だが、率直に言えば、とても暇な仕事だ。ヤギやヒツジを草のあるところに連れていくほか、日中は何もすることがない。失礼かもしれないが、日本人として育った私には、少なくともはじめはそう感じるだろう。私は彼らと3カ月も一緒に過ごすことができるだろうか。そこから何が得られるのだろう。そんなことを考え始めると、やっぱり行くのをやめようかと思ったりもした。

 とはいえ、やはり私は遊牧民のことが知りたい。悠久に続いてきた遊牧生活をのぞいてみたい。そして、ひとりでも多くの人にモロッコノマドのことを知ってもらえたらうれしく思う。

 今後について。

 12月18日にパリ着、モロッコのウジダという町に飛ぶ。ここで中古自転車を買い、ノマドが暮らすトドラ渓谷を目指す。冒頭でも述べたように、私を受け入れてくれるノマドがいなければ、この計画は台無しになる。当てはあるが、いま一番心配しているのはその点だ。