モロッコ遊牧民探訪記

遊牧民との生活。ロバとの旅の記録

調査地と方法など

 この冬予定しているモロッコ再訪の目的は、いずれ消えゆくノマドの暮らしを記録すること。そのため、彼らとともに生活してみたい。知りたいことはたくさんある。1日をどのように過ごすのか、何を大切にしているのか、ノマド同士の話題は何か。言葉と文化をたくさん吸収したい。

 期間は最大3カ月。場所はモロッコ南部のトドラ渓谷周辺を考えている。前に1カ月近く滞在して土地勘があることもあるが、渓谷の入口にある集落では2人の日本人女性がそれぞれ宿を経営しており、協力が得やすいことも大きな理由だ。住民も日本人に好意的な人が多い。

f:id:taro_maru:20171115010939p:plain

 いま最も不安なのは、私を受け入れてくれるノマドがいるかどうかだ。まずは、以前3泊させていただいたノマド一家と交渉してみたい。今回は長期滞在となるので断られる可能性もある。場合によっては、短期で複数の家族のお世話になるかもしれない。

 気をつけたいのは、彼らの生活の邪魔にならないようにすることだ。彼らは集落から遠く離れた山中で暮らしており、食糧や水、薪が貴重だ。それらは極力持参し、私の滞在が負担にならないよう最大限気を配りたい。寝起きする場所も、岩穴ではなく、少し離れた場所にテントを張ることも考えている。

 相手には謝礼を支払おうと思う。私を受け入れることに少しでもメリットを感じてもらうためだ。一番分かりやすいのは、やはりお金だと思う。金額は現地に着いてから考えるが、前のホームステイでは岩穴一つを寝床に使わせてもらい、1泊につき40DH(約475円)支払った。これが一つの目安になると思う。

 言語も大きな課題だ。モロッコ公用語アラビア語とフランス語。英語も通じるが、ノマドが話すのはベルベル語に限られる。しかもこの言語は主に3系統に分かれ、山ごとに方言があるとも言われている。日本語で書かれた解説書は一冊見つかりはしたものの、あまりに専門的で素人が読めるようなものではなかった。幸い、You tubeベルベル語の基本的な単語が学べる動画があったので、いまはそれで少しずつ覚えている。とはいえ3カ月の滞在で意思疎通できるレベルに達することは難しいだろう。なので英語が話せる元ノマドに通訳を頼み、何度かインタビューしてみたい。トドラ渓谷は観光地としても有名で、元ノマド含め英語を話せるベルベル人は何人もいるから協力は得られるはずだ。